【弦楽亭】那須の木立の中にある上質な音楽ホール

アートと文化

緑豊かな那須にある音楽ホール、「弦楽亭」。
今回はオーナーの前嶋さんに、音楽ホールを建てた経緯や弦楽亭について、お話をお聞きしました。

前嶋さんが弦楽亭を建てたわけ

ーー前嶋さんが弦楽亭の音楽ホールを建てようと思ったきっかけを教えていただけますか?

もともと東京でIT関係の仕事に就いていて、しばらくして那須と縁ができ、ちょくちょく通っているうちに、地元の方に土地と工務店さんを紹介していただいたんです。それで、ちょうど良いから引っ越そうかって。

広い土地だったので、家を建てるにしてもまだまだ土地が余っていて。それでこの音楽ホールを建てようと。それが2004年ですね。実は音楽を作れる場所を持ちたいというのが高校生からの夢だったんです。

ーー高校生の頃から!長年の夢を叶えられたんですね。

ーーご自身でも音楽をされていたのですか?

私自身は小学校1年生からバイオリンをずっとやっています。実は双子の姉がいるのですが、姉はプロのバイオリニストなんです。妹もいて、妹はプロのチェリストとして新日本フィルに属しています。

ーー音楽一家なんですね…!

姉や妹の影響もあって、音楽とは切っても切り離せない生活をずーっとしてきました。

ーー前嶋さんが音楽ではなく、ITの道に進まれたきっかけなどはありましたか?

小学校の時に、姉はバイオリンでいく、私は音楽以外の道でいくってその頃から言っていました。音楽以外の世界も色々あるから、そっちの世界に進みたいなって。

大学は数学を専門にしていたので、卒業後にはITの仕事に就きました。

ーー今もお仕事をされながらホールのオーナーをされているんですか?

ITの仕事は転職をしながらずっと続けていて、実はそちらでも夢があって。それを叶える最後のチャンスだと思って、1年前に自分の会社を作ったんです。

ーーすごいバイタリティ・・・!

ーーそちらのお仕事はどんなことをされてるんですか?

CAE(コンピューター・エイデッド・エンジニアリング)という分野で物理現象をコンピューターでシュミレーションするプログラムなのですが。最近は、マスクの飛沫とかが絵で出てきたりしますよね。あれを計算するソフトウェアに関わる仕事をしています。

ーーくしゃみをした時の飛沫の絵、見たことあります!

それを今よりもパッと作れるような、手元で電卓のように使えるような仕組みを作りたいっていう夢があるんです。

ーー音楽でもITでも、夢をお持ちなのがとても素敵ですね。

ーー弦楽亭のホールは、ご自身の費用で建てられたのですか?

そうなんです!だからそのためにも、ITの仕事の方で一生懸命働かないと!(笑)

ーーすごい!夢のための投資ですね!!

ーー音の反響とかも計算されたんですか?

そうなんです、私のITの仕事の中に、音響を計算するっていうのがあって、それを使って天井の高さを計算しました。

ーーなるほど。本業のお仕事を生かして造られたんですね。

前嶋さんが弦楽亭でやりたかった3つのこと

ホールを建てた時に、やりたいと思っていたことが3つあったんです。

1つはオーケストラを作ること。これに関わる人たちを呼んでオーケストラを2010年に作りました。

ーーすでに実現されてるんですね!

今までにコンサートも5回やっていて、昨年は第九を演奏しました。

2つ目は、那須高原で本格的なクラシック音楽の祭典をやること。これは、2018年9月に「第1回那須クラシック音楽祭」を開催しました。今年で4回目となり、9月から10月に第4回を開催するため準備を進めています。

もう一つは、まだ叶えていないのですが。チェコのパノハ弦楽四重奏団っていう、素敵なおじいさまたちのユニットがあって、その方々を日本に呼びたいんですよね。

ーーチェコにいらっしゃるんですか?

チェコにいるのですが、日本にも来ていて、草津の方で音楽祭などに出ていたりするんです!素敵なおじいちゃんたちなので。ぜひ来てもらいたいんですよね。

あと、本当はやりたいなーと思ってまだやれていないのが、アートとのコラボ。例えば、絵を飾って、その絵からインスピレーションを受けた音楽をそれぞれ流したり、演奏したり。オブジェを持ってきてもいいかなって!

ーーそれは素敵ですね。ぜひ体験してみたいです。

ーーこちらのバーカウンターが気になるのですが、カフェ風に、何か飲みながらみたいなこともできるのでしょうか?

そこは、演奏者が終わったらみんなで集って飲んでいくんです。コロナでしばらくできていなかったんですけど、頃合いをみて再開したいなと思っています。

ーーCDもたくさんありますね!

そうですね。あれは名曲喫茶用にと思って、もともと持っていたCDたちを置いています。

弦楽亭で開かれるコンサート

ーーコンサートは、年間どのくらいの頻度で開かれているのでしょうか?

今は、私が主催してアーティストの方をお呼びするのは3ヶ月に2回くらいですかね。冬は雪が降るのであまりイベントができないのですが、4月から12月の間は何かしら入っていますね!

それとは別に貸しホールとして、日曜日とかは結構埋まっています。

ーーどんなイベントが多いのでしょうか?

圧倒的に多いのは、ピアノの発表会ですね。

ーー客席との距離が近いから良いですねー!!

そうなんです!子どもたちがもう大喜びで!

ーー私もピアノを習っていたので、懐かしいです。

ーーホールには、全部で何人くらいお客さんが入るのでしょうか?

通常は50席ですね。椅子を足して80席、ぱんぱんにして120席ですね!

ーーピアノの発表会以外にはどのような方が使われるのでしょうか?

あとは、地元の方々でちょっとしたコンサートをやりたい人たちとか。クラシックだけじゃなくて、ジャズとか、ポピュラーとか、ジャンルも様々ですね。

あとは、何かの集まりで、ちょっとした集会なんかにも使っていただくこともあります。

ーーそうなんですか!音楽ホールで行う集会なんて、贅沢で良いですね!

あとは、ピアノの練習に1時間貸してほしいと言って、飛び込みで来る方もいます。1時間5千円、ピアノを入れると6千円で貸しているんです。

あと実は、カップルで来て、ここでピアノを弾いてプロポーズされた方もいました!

ーーそんな素敵なカップルがいるんですか!

ーーピアノの発表会や地元の方のコンサートなどは、月にどれくらい行われているのでしょうか?

月に平均して3回くらいですかね。本当はもっともっと使ってほしいんですよね!平日は空いているので、名曲喫茶やろうかな、なんてちょっと思っています。

今までで一番心に残っていること

ーー今まで弦楽亭で行ったコンサートの中で、一番心に残っていることをお聞きできますか?

フランスからすごく有名なバイオリニストの第一人者である、ジャン=ジャック=カントロフが来てくれたこと!

小学校の頃から彼のCDを持っていて、すっごく好きな人だったんですよ。ご縁があって、ここに来てくれたんです。そしたら彼は、カーネギーホールの音に近いって言ってくれて。しかもストラディバリウス持ってきてくれて。

ーーストラディバリウス!

直前まで練習してここで弾いて、終わった後にみんなで食事して。もう本当にすごい人なんですよ。バイオリンも本当に上手で。あれ聞いたら、音楽ってすごいんだって思っちゃうような。その時に120人ぱんぱんに集まったんです。

ーーたくさんの方が聞きに来られたんですね。

彼はもう本当に気に入ってくれて、日本に来るたびに必ずここに寄ってくれるようになって。今まで3回来てくれています。4回目の時に、コロナになって来れなくなってしまったんですけど。また来てもらえるといいなって思っています。もう、彼がいるから元気が出る(笑)

ーープロ中のプロをも虜にするような素晴らしいホールってことなんですね。

そうですね、今はそんな感じになっているみたいです。音響がいいんですよね。弾いてみますか?

ーーぜひ聞いてみたいです!

ホールの響き

ーー弾いている場所から離れているのに、音が迫ってくる感じがします・・・!

そうなんですよね。弾いている側も気持ちいんですよね!

バイオリンを演奏する前嶋さん

ちょっと天井を低くすると、高い音が飛ばなくなるんです。

ーー今、高い音がすっごく綺麗だなと思いました!

そうそう!高い音の周波数を飛ばしたくて。

ーーそれが天井の高さと関係あるんですね!

そうなんです。びっくりですよね。

ーー素敵な音色に癒されて、バイタリティー溢れる前嶋さんに元気をもらえました!お話しをお聞かせいただき、ありがとうございました。

弦楽亭で開かれるイベント

弦楽亭では、様々なイベントが開かれています。
詳しくは「弦楽亭HPイベントページ」をご覧ください

上質な空間で音楽に触れられる、弦楽亭。
ぜひ足を運んでみてくださいね。

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